補助金で一番つまずきやすいのは、「何の費用が対象になるのか」と「いつからいつまでの費用が対象なのか」です。事業承継・M&A補助金でも、対象になる経費と期間のルールを知らずに動くと、あとから補助されない費用が出てしまいます。この記事では、第16次公募のルールを、図を使ってやさしく整理します。
ご注意:専門家活用枠は公募要領、そのほかの枠は事務局の公式パンフレットをもとにした概要です。細かい条件は、必ず最新の公募要領で確認してください。
補助の対象になる経費の3つの条件
補助の対象になるのは、次の3つの条件をすべて満たす経費です。
- 補助事業をするために必要なことが、はっきり分かる経費
- 補助事業期間の中で、契約・発注をして、支払いまで終えた経費
- 事業が終わったあとの報告で、金額や支払いが書類で確認できる経費
ポイント:3つ目は「証拠書類」
見積書、契約書、請求書、支払いの記録などは、必ず保管しておきましょう。あとで報告するときに、金額や支払いの証拠として求められます。
枠ごとに、使える経費の種類がちがいます

どの枠でも、廃業費は「併用申請」のときに上乗せして使えます。たとえば、買い手が専門家活用枠で申請するとき、廃業費は+300万円まで上乗せできます。
専門家活用枠の補助対象経費をくわしく

委託費(仲介会社・FAへの支払い)
仲介会社やFAに払う、次のような費用が対象です。
- 相談料、着手金、リテーナー(月額報酬)
- 基本合意のときに払う報酬(中間報酬)、最終契約のときに払う成功報酬
- 相手探しのためのマーケティング費用
- 企業価値の算定費用、DD(買収前の調査)費用
ポイント:対象は「登録された専門家」への支払いだけ
仲介・FAの費用は、国の「M&A支援機関登録制度」に登録された専門家に払ったものだけが対象です。登録の確認は交付決定のときに行われます。専門家選びの前に、登録の有無を必ず確認しましょう。
システム利用料(マッチングサイト)
M&Aのマッチングサイトの登録料・利用料が対象です。一方、ファイル共有サービスやデータストレージの使用料(バーチャルデータルームを含む)は、対象になりません。
廃業費(併用申請のとき)
廃業支援費、在庫の廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、土壌汚染の調査費、移転・移設費が対象です。ただし、関連するM&Aが補助事業期間内に成立しなかった場合、廃業費は補助対象外になります。
補助の対象になる期間は?
専門家活用枠の補助事業期間は、2027年1月(下旬の予定)から14か月以内を想定しています。補助の対象になるのは、交付決定の日から補助事業期間の終わりまでの間に、契約・発注・支払いまで終えた経費です。

ポイント:交付決定の「前」の契約・発注は対象外
申請したあと、採択されても、交付決定の前に契約・発注した費用は、補助されません。「早く動きたいから、先に契約してしまった」というケースが、いちばん多い失敗です。
専門家との契約と、M&Aの契約の順番
仲介・FAの費用は、次の順番がすべて補助事業期間の中にある場合だけ、補助対象になります。
- 専門家(仲介・FA)と、委託の契約をする
- 専門家の支援を受けて、M&Aの相手と最終契約書(または基本合意書)を結ぶ
- 最終契約・クロージングに伴う成功報酬(または、基本合意に伴う中間報酬)を支払う
ポイント:1つでも期間の外だと対象外
公募要領の例では、専門家との契約・最終契約・成功報酬の支払いが、すべて補助事業期間内のケースだけが「対象」です。どれか1つでも期間の前や後になると、対象外になります。また、期間の前に最終契約書を結んでいるのに、覚書などで日付を期間内に延ばしても、原則として認められません。
枠ごとの期間のちがい
- 事業承継促進枠:公募申請期日(2026年11月6日)から5年間が「事業承継対象期間」です。この期間内に事業承継を完了する必要があります。補助対象経費は、交付決定日以降かつ補助事業期間内の契約・発注・支払いです。
- 専門家活用枠:補助事業期間内に、M&Aの基本合意書または最終契約書を結ぶ必要があります。M&Aの実現(クロージング)も、補助事業期間内に完了することが求められます。
- PMI推進枠:M&Aのクロージング後、3年以内に実施するPMI・事業統合投資が対象です。クロージング前の準備は対象外です。
- 廃業・再チャレンジ枠:単独申請では、補助事業期間内に会社自体の廃業を完了し、そのあと12か月以内に再チャレンジを行います。期間内に廃業が終わらなければ、補助対象外です。
申請から補助金を受け取るまでの流れ

申請の受付期間は、2026年10月2日(金)から11月6日(金)17:00までです。申請はインターネットの「Jグランツ」で行い、その前に「GビズIDプライム」のアカウントが必要です。
ポイント:補助金は「後払い」
補助金は、事業が終わって、実績報告と確定検査を受けたあとに支払われます(精算払い)。それまでの費用は、いったん自社で立て替える必要があります。資金繰りの計画も、申請の前に立てておきましょう。
これだけは確認:経費の失敗を防ぐチェック
- 契約・発注は、交付決定のあとに行う(採択のあとではなく、交付決定のあと)
- 仲介・FAは、M&A支援機関登録制度に登録済みの専門家を選ぶ
- 支払いは、補助事業期間内に終える
- 見積書・契約書・請求書・支払いの記録を、すべて保管する
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