事業承継・M&A補助金に申請するときは、決算書や証明書など、たくさんの書類をそろえる必要があります。しかも、書類は「どの枠か」「法人か個人事業主か」「共同申請があるか」で変わります。この記事では、第16次公募の必要書類を、できるだけやさしく整理します。
ご注意:この記事は、事務局が公開している第16次公募の「必要書類チェックリスト」(v1.0)をもとにした概要です。申請の前に、必ず公式のチェックリストと公募要領で、自社の分をご確認ください。
ポイント:まず「申請フォーム番号」を確認
事務局のチェックリストには、「Jグランツの申請フォーム番号」が書かれています。自社の枠・法人か個人か・M&Aの形(買う・売る、など)から、フォーム番号が決まります。そのフォーム番号の列に「●」が付いた書類が、提出が必須の書類です。
書類の「マーク」の意味
公式のチェックリストでは、次のようなマークで、提出の必要性が示されています。
- ●(必須):必ず提出する書類
- ○(該当必須):自社が当てはまる場合は、必ず提出する書類
- △(任意):加点や、補助上限・補助率の引き上げを希望する場合に出す書類
- ー(不要):提出しなくてよい書類
まず用意する書類(共通)
多くの枠で、申請者のタイプ別に、次のような書類が必要になります。

- 法人:履歴事項全部証明書、直近3期分の決算書、代表者の住民票
- 個人事業主:住民票、直近3期分の確定申告書B、所得税青色申告決算書、開業届出書と青色申告承認申請書
ポイント:証明書は「3か月以内」
履歴事項全部証明書と住民票は、公募申請日以前3か月以内に発行されたものが必要です。古いと使えません。また、住民票のマイナンバーは、墨消し(黒塗り)にして提出します。
ポイント:電子申請をしている場合の追加書類
税務申告を電子で行っているときは、確定申告書などに加えて、受付が確認できる「メール詳細(受付結果)」の提出が必要です。メール詳細がない場合は、「納税証明書(その2)」または「課税証明書」で代えます。
枠ごとの専用書類
共通の書類に、枠ごとの書類が加わります。

事業承継促進枠
- 公募申請書(別紙)(Excel)
- 事業承継計画表(Excel):事業承継計画書(骨子)、補助事業の実施体制図などを含みます
- 認定経営革新等支援機関による確認書(Excel)
- 事業承継実施に係る誓約書
- 承継予定者の資格要件を示す書類:役員として3年以上なら履歴事項全部証明書、雇用されて3年以上なら労働条件通知書(または雇用契約書)と賃金台帳など
- HD(持株会社)承継の場合:HD承継会社の株主名簿(代表者の原本証明付き)
- 個人事業主(事業譲渡)の場合:共同申請者の住民票など
ポイント:Excelは「PDFにしない」
公募申請書や確認書は、事務局のサイトから雛型をダウンロードして、PDFにせず、必ずExcelのまま提出します。
専門家活用枠(買い手・売り手)
買い手(買い手支援類型)の書類
- 法人の場合:履歴事項全部証明書(3か月以内)、直近3期分の決算書、代表者の住民票(3か月以内)
- 個人事業主の場合:住民票(3か月以内)、直近3期分の確定申告書B(第一表・第二表)と所得税青色申告決算書(P1〜P4)、開業届出書と青色申告承認申請書
- 公式のチェックリストでは、買い手には、この共通書類のほかに、必ず出す専用の書類はありません(加点や補助率の引き上げ、100億企業特例などの場合は、別の書類が加わります)
- 買い手の「100億企業特例」:事業計画書、事業計画書(別紙)、ローカルベンチマーク
売り手(売り手支援類型)の書類
- 売り手(対象会社):直近の確定申告書(別表一・別表二・別表四)の写しと、株主名簿(代表者の原本証明付き)。合同会社の場合は、代表社員が書かれた定款です
- 対象会社の支配株主・株主代表と一緒に申請する場合:共同申請者の履歴事項全部証明書(法人)または住民票(個人)、株主代表に係る確認書
- 常時使用する従業員1名の労働条件通知書:公募要領では、売り手のみ、業種に関わらず必要とされています(従業員が1名以上いることが確認できること。個人が分かる部分は墨消し)
- 補助率を2/3に引き上げたい場合:営業利益率低下の計算書など(営業利益率の低下、または営業利益・経常利益の赤字を示す書類)
- 賃上げの加点を希望する売り手:「M&A以降も賃上げを実施する誓約書」も必要です
ポイント:書類は原則PDFで提出
公募要領では、Jグランツで提出する必要書類は原則PDF形式とされています。ただし、事務局の雛型を使う書類(計画書や確認書など)は、PDFにせずExcelのまま提出するものがあります。
PMI推進枠
- PMI専門家活用類型:対象M&Aの基本合意書(なければ、最終契約書などの代替書類)。契約当事者の署名・押印が確認できるものです
- 被承継者(対象会社)と一緒に申請する場合:共同申請者の履歴事項全部証明書、代表者の住民票、確定申告書、決算書、株主名簿など
- 事業統合投資類型:事業計画書、PMI実施証拠書類、株主代表に係る確認書
廃業・再チャレンジ枠
- 廃業・再チャレンジ計画書(Excel)
- 認定経営革新等支援機関による確認書
- M&A(事業の譲り渡し)に着手した証拠:事業承継・引継ぎ支援センターへの支援依頼書、M&A支援機関との業務委託契約書、M&Aマッチングサイトへの登録完了が分かるもの、のうち、いずれか
- 法人の場合:履歴事項全部証明書、直近3期分の決算書、株主名簿、共同申請者の書類
- 個人事業主の場合:住民票、確定申告書B、青色申告決算書、開業届
ポイント:M&Aへの着手の条件
廃業・再チャレンジ枠の単独申請では、2020年以降に売り手としてM&Aに着手し、申請の締切時点で3か月以上たっていることが分かる証拠が必要です。
出すと有利になる書類(任意)
次のような書類は、必須ではありません。加点や、補助上限・補助率の引き上げを希望するときに提出します。
- 賃上げ:賃金引上げ計画の誓約書、従業員への賃金引上げ計画の表明書(補助上限の引き上げ、または加点を希望する場合)
- 会計:中小企業の会計に関する基本要領(または指針)のチェックリスト(顧問の会計専門家の印が必要)
- 国や自治体の認定:経営力向上計画、経営革新計画、先端設備等導入計画、事業継続力強化計画の認定書など
- そのほか:地域未来牽引企業の選定証、健康経営優良法人の認定証、サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用が分かる書類、えるぼし・くるみん認定の通知書、など
- 小規模事業者:法人は法人事業概況説明書、個人事業主は所得税青色申告決算書(補助率の引き上げや加点を希望する場合)
- PMI推進枠:デュー・ディリジェンス(DD)を実施した証拠と報告書(加点)
どの書類が加点や引き上げの対象かは、枠によって違います。公式のチェックリストの「補足」欄で確認してください。
提出するときの注意点
ポイント:申請書づくりを頼めるのは「行政書士」だけ
申請書類の作成を第三者に頼む場合、頼めるのは行政書士(または行政書士法人)に限られます。その場合は、「行政書士証票の写し」と「委任契約書等の写し」を提出します。行政書士以外の人が作成していた場合は、交付決定の取消しになることがあります。また、行政書士に払った費用は、補助対象になりません。
ポイント:GビズIDプライムは早めに
電子申請には、GビズIDプライムのアカウントが必要です。取得には、1〜2週間かかるとされています。早めに手続きをしましょう。
ポイント:差戻しの修正を希望するなら早めに提出
事務局のページでは、差戻しによる修正を希望する場合、申請期日の5営業日前(2026年10月29日)までの提出が推奨されています。申請の締切は、11月6日(金)17:00です。
申請の流れと、準備するもの
- 公募要領と、枠ごとの「必要書類チェックリスト」をダウンロードして、自社のフォーム番号を確認する
- GビズIDプライムのアカウントを取得する(未取得の場合)
- 証明書(履歴事項全部証明書、住民票など)を取り寄せる。発行から3か月以内のものにする
- Excelの様式(公募申請書、計画書、確認書など)を作る。認定経営革新等支援機関の確認書は、先に相談しておく
- Jグランツで入力し、書類を添付して提出する。提出完了の画面を必ず確認する
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