「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」には、3つの枠があります。そのうち「グローバル枠」は、海外市場の開拓(輸出)に向けて、国内の体制を強化する取り組みを支援する枠です。この記事では、グローバル枠の要件、使えるパターン、対象経費、審査のポイントを、第1回公募(10月30日(金)18:00締切)の公募要領をもとに、図で整理します。
この記事の結論(要点)
- グローバル枠は、新たな海外市場に向けて、国内の製造等拠点を強化する取り組みを支援する枠です
- 補助率は2/3、補助上限額は2,500万円〜7,000万円(賃上げ特例で3,000万円〜9,000万円)、補助下限額は750万円です
- 海外旅費・通訳翻訳費が使えますが、機械装置・システム構築費か建物費の計上が必須です
- 地域別最低賃金引上げ特例は使えません。賃上げ特例は使えます(再生事業者を除く)
ご注意:この記事は、中小企業基盤整備機構(中小機構)が公開している公募要領(第1回・1.3版、令和8年9月)の概要です。公募要領は改訂されることがあります。申請の前に、必ず事務局の最新の公募要領で、自社の条件をご確認ください。補助金全体の概要や、他の枠については、こちらの記事をご覧ください。
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グローバル枠とは?
グローバル枠は、海外市場の開拓(輸出)に向けた、国内の輸出体制の強化を支援する枠です。海外で事業をする費用を出す枠ではなく、日本の国内で、輸出のために必要な製造などの拠点を強化する取り組みが対象です。次の3つを、すべて満たす必要があります。

- ① 自社の製品等を活用し、自発的に海外販路を開拓する:取引先から言われて進める事業は、自発的な取り組みとは言えないため、対象外です
- ② 新たな海外市場である:新たな海外市場とは、既存の事業で対象になっていなかった国・地域の市場のことです。ここでの「地域」は、統計上、国に準じて数えられる領域で、行政区画ではありません
- ③ 国内の製造等拠点の強化に取り組む
ポイント:他の2つの枠との違い
グローバル枠の補助率は2/3で、新事業進出枠(1/2)より高く設定されています。補助上限額は新事業進出枠と同じ(2,500万円〜7,000万円、賃上げ特例で3,000万円〜9,000万円)で、補助下限額は750万円です。補助事業の実施期間は、交付決定日から14か月以内です。
使える・使えないパターン
公募要領の定義にあてはめると、グローバル枠を使えるケースと、使えないケースは、次のように整理できます。

ポイントは、「新たな海外市場」と「自発的な取り組み」の2つです。すでに輸出している国向けの増産は、新たな海外市場ではないため、対象になりません。また、取引先から依頼されて作る場合も、対象外です。
ポイント:図2は、公募要領からの判断です
公募要領は、グローバル枠を「国内の輸出体制の強化」を支援する枠と説明しています。海外に工場や店舗を新しく作るなど、判断に迷うケースは、申請の前に、事務局に確認してください。
グローバル枠で使える経費
グローバル枠では、新事業進出枠で使える経費に加えて、海外旅費と通訳・翻訳費も対象になります。どの経費を使う場合でも、「機械装置・システム構築費」か「建物費」のどちらかを、必ず含める必要があります。

- 海外旅費:海外事業の拡大・強化のために、必要不可欠な海外渡航・宿泊の経費です。補助事業の実施期間内に渡航する必要があり、交付申請のときに、海外渡航の計画をあらかじめ申請します。1回の渡航で、事業者3名まで(専門家・通訳者が同行する場合は、さらに2名まで)、1人あたり最大50万円(補助金額ベース)です。補助対象経費総額(税抜)の5分の1が上限です
- 通訳・翻訳費:事業に必要な通訳・翻訳の経費で、上限は30万円(税抜)です。翻訳は、広告宣伝・販売促進に必要なものだけが対象で、事業計画に関する契約書の翻訳は対象外です
そのほかの経費(機械装置・システム構築費、建物費、外注費、専門家経費など)の詳しい条件は、別の記事で解説しています。
経費の組み合わせイメージ
グローバル枠でよく考えられる経費の組み合わせを、3つのイメージで示します。

ポイント:「必須の資産」を忘れずに
どのパターンでも、機械装置・システム構築費か建物費のどちらかを必ず計上します。海外旅費や広告宣伝費だけで申請することはできません。なお、図4は考え方のイメージで、公募要領に載っている例ではありません。
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満たすべき要件
基本要件6つは、すべての枠で共通です。グローバル枠には、いくつかの注意点があります。

- 賃上げ特例は使えます:1人あたり給与支給総額を年平均+6.0%以上、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にする計画で、補助上限額が引き上げられます。ただし、再生事業者として申請するグローバル枠では、適用できません
- 地域別最低賃金引上げ特例は使えません:この特例は補助率を引き上げるものですが、グローバル枠は補助率がもともと2/3のため、適用できません
- 補助下限額は750万円:審査後の交付決定額が下がって、750万円を下回ると、採択取消になります
- 基本要件の付加価値額(年平均+4.0%以上)、賃上げ(年平均+3.5%以上)は、達成できないと返還の対象になります
審査と加点のポイント

審査では、輸出先の国・地域に特有のリスクや、文化、法規制、商習慣の違いを、十分に把握しているかが見られます。事業計画書には、海外販路を開拓する戦略が自社の事業戦略に基づくものであること、顧客層がこれまでと比べて国・地域単位で異なることを、具体的に示します。
加点では、グローバル枠だけが対象になるものがあります。「新規輸出1万者支援プログラム」と「日本の食輸出1万者支援プログラム」のポータルサイトに、登録が完了している事業者です。登録は、申請する事業者自身が行います。
申請の流れと提出書類
- 申請の締切は、10月30日(金)18:00(厳守)です。採択発表は、令和9年1月頃の予定です
- 申請は、電子申請システムで行います。GビズIDプライムアカウントが必要で、発行に1週間程度かかります
- 一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表するまでに、1〜2週間程度かかります。早めに着手しましょう
- 同じ事業者は、1回の公募につき、1申請だけです。3つの枠のうち、どの枠で申請するかを、1つに決める必要があります
- 必須の提出書類は、決算書・従業員数を示す書類・収益事業を行っていることを示す書類です。創業から1年に満たない場合は、グローバル枠では、決算書の代わりに、法人は履歴事項全部証明書、個人事業主は開業届を添付します
ポイント:事業計画書は、必ず申請者ご自身で作成
外部の方に助言を受けることはできますが、作成そのものを申請者以外が行うことは認められません。事業計画の重複(他社と同一または類似した内容)にもご注意ください。
よくある質問(Q&A)
Q. グローバル枠の補助率はどのくらいですか?
A. 2/3です。新事業進出枠の補助率(1/2)より高く設定されています。補助上限額は新事業進出枠と同じで、2,500万円〜7,000万円(賃上げ特例で3,000万円〜9,000万円)、補助下限額は750万円です。
Q. グローバル枠で、地域別最低賃金引上げ特例は使えますか?
A. 使えません。この特例は補助率を引き上げるものですが、グローバル枠はもともと補助率が2/3のため、適用できません。一方、賃上げ特例(補助上限額の引き上げ)は使えます。ただし、再生事業者として申請する場合は適用できません。
Q. 海外旅費の上限はどのくらいですか?
A. 補助対象経費総額(税抜)の5分の1が上限です。1回の渡航で、事業者3名まで(専門家・通訳者が同行する場合は、さらに2名まで)、1人あたり最大50万円(補助金額ベース)です。
Q. グローバル枠だけの加点はありますか?
A. あります。「新規輸出1万者支援プログラム」と「日本の食輸出1万者支援プログラム」のポータルサイトに、登録が完了している事業者が対象です。登録は、申請する事業者自身が行います。
まとめ
- グローバル枠は、新たな海外市場に向けて、国内の製造等拠点を強化する取り組みを支援します
- 補助率は2/3、補助上限額は2,500万円〜7,000万円(賃上げ特例で3,000万円〜9,000万円)、補助下限額は750万円です
- 取引先主導の事業や、すでに輸出している国向けの増産は、対象になりません
- 海外旅費と通訳・翻訳費が使えますが、機械装置・システム構築費か建物費は、必ず計上します
- 輸出先のリスクの把握が、審査で見られます
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出典と最終確認日
- 出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(中小企業基盤整備機構)公式サイトの公募要領(第1回・1.3版、令和8年9月)
- 最終確認日:2026年10月12日
- 執筆:株式会社Salud(補助金の申請支援・Web制作)