新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回公募)の新事業進出枠では、「自社にとっての新規性」「新たな市場であること」「付加価値額の年平均成長率4.0%以上」の3点を押さえる必要があります。この記事では、この3点それぞれの意味、該当しない例、申請前の確認手順を、公募要領(1.3版)に沿って整理します。第1回公募の申請締切は令和8年10月30日(金)18:00ですが、要件の考え方は次の公募を検討するときにも使えます。今のうちに自社の計画を点検しておくための解説です。次回以降の公募の有無や内容は、公式サイトでご確認ください。
この記事の結論(要点)
- 新事業進出枠の中心は、①新規性、②新たな市場、③付加価値額の年平均成長率4.0%以上の3点(公募要領が「3つのポイント」と名付けているわけではなく、本記事での整理です)
- 新規性は「自社にとっての新規性」で足りる。日本初・世界初である必要はない
- 新たな市場とは、既存事業の対象外だったニーズ・属性の顧客層を対象とする市場のこと
- 過去に製造していた製品の再製造、既存商品のメニュー追加、商圏だけの変更は該当しない例として明記されている
- 付加価値額は営業利益+人件費+減価償却費。補助事業終了後3〜5年で年平均4.0%以上の成長を見込む計画を、申請者自身で作る
ご注意:この記事は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回・1.3版、令和8年9月)をもとにした概要です。公募要領は改訂されることがあります。申請の前に、必ず最新の公募要領でご確認ください。
✔ 迷ったら、先に相談を。要件や経費の確認は、無料相談フォームまたはLINEから受け付けています。
新事業進出枠の「3つのポイント」とは何ですか?
新事業進出枠で最初に確認したいのは、「新規性」「新たな市場」「付加価値額の成長」の3点です。
ただし、公募要領は「3つのポイント」という呼び方をしていません。新事業進出枠の説明(1-2-2)にある「新規性」と「新たな市場」、基本要件(1-3-1)にある「付加価値額要件」を、本記事で3点にまとめて整理しています。
新事業進出枠とは、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠のことです。補助対象になるのは、次の2つを両方満たすものです。
- ①新たに製造・提供する製品・商品・サービスが、自社にとって新規性を持つこと
- ②その製品等が属する市場が、自社にとって新たな市場であること
この2つに、付加価値額要件が加わります。
| 項目 | 見るポイント | 公募要領での位置づけ |
|---|---|---|
| ①新規性 | 自社にとって新しい製品・商品・サービスか | 新事業進出枠の概要(1-2-2) |
| ②新たな市場 | 既存事業になかった顧客層を対象にするか | 新事業進出枠の概要(1-2-2) |
| ③付加価値額 | 3〜5年で年平均成長率4.0%以上の計画か | 基本要件(1)付加価値額要件(1-3-1) |
次の図は、申請前に確認する順番の目安です。
数字で押さえるポイントは次のとおりです。
「新規性」とは何を指しますか?
新規性とは、補助事業に取り組む中小企業等にとっての新しさのことで、日本初・世界初である必要はありません。
公募要領では、ここでの新規性は「世の中における新規性(日本初・世界初)ではない」と書かれています。自社が過去に作ったことがない、売ったことがない製品・商品・サービスであることが基準です。
また、本補助金の申請予定公募回の公募開始(=公募要領公開)日以降に初めて取り組んでいる事業は、「新規性」を有するものとみなされます。
一方で、次のような場合は新規性があるとは言えません。
- 過去に製造等していた製品等を再製造等する場合(新たな製品等とは言えないため、補助対象外)
- 既存の製品等の製造量・提供量を増やす場合
- 単に既存の製品等の製造方法を変更する場合
- 製品等の性能が定量的に計測できるのに、性能が有意に異なるとは認められない場合
やってはいけない例
「昔やめたメニューを、新しい機械で復活させる」計画を、新事業として書くのは危険です。過去に製造していた製品の再製造は、補助対象外と明記されています。
✔ 迷ったら、先に相談を。要件や経費の確認は、無料相談フォームまたはLINEから受け付けています。
「新たな市場」とは何を指しますか?
新たな市場とは、自社の既存事業が対象にしていなかったニーズ・属性を持つ顧客層の市場のことです。
公募要領では、顧客の属性として「法人/個人、業種、行動特性等」が例に挙がっています。新製品を作っても、売る相手が既存のお客様と同じなら、新たな市場とは言えません。
新事業進出枠に該当しない例のうち、市場に関わるものは次のとおりです。
- 既存の製品等と対象とする市場が同一である場合(既存の需要が新製品の需要で代替される場合、単なるメニューの追加と考えられる場合)
- 既存の製品等の市場の一部のみを対象とする場合
- 既存の製品等が対象で、単に商圏が異なるだけの場合
事業計画書のポイントとしても、「過去に製造等した実績がない製品等に取り組むこと」と「既存事業と新規事業の顧客層が異なること」を示すよう求められています。
経営者うちは飲食店ですが、新しく通販用の冷凍食品を作ります。これは新事業ですか?
担当者新製品であることに加えて、買う人が既存のお客様と違うかを見ます。同じお客様向けのメニュー追加なら、該当しない例にあたります。
経営者隣の県にも店を出す計画は?
担当者既存の製品で商圏が違うだけの場合は、該当しない例に書かれています。
経営者境目が難しいですね。
担当者はい。迷うときは、事務局への確認が必要です。
付加価値額要件とは何ですか?
付加価値額要件とは、補助事業終了後3〜5年の事業計画期間で、付加価値額の年平均成長率を4.0%以上にする計画を立て、達成する要件のことです。
付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。比較の基準になるのは、補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度(申請者の事業年度)の付加価値額です。
要点は次のとおりです。
- 目標値は申請者自身で設定し、事業計画期間の最終年度に達成する
- 年平均成長率(CAGR)は、複利計算をもとに算出する
- 基準値を上回る高い目標を設定した場合は、高さの度合いと実現可能性を考慮して審査される
- 目標の算出根拠は、具体的に示す必要がある
この要件は新事業進出枠だけのものではなく、基本要件として定められています。数値が根拠なく大きいだけでは、実現可能性の面で評価されない可能性があります。
審査では「新市場性・高付加価値性」も見られる
審査項目には「新規事業の新市場性・高付加価値性(新事業進出枠に限る)」があります。①社会における普及度や認知度が低いジャンルか、②同じジャンルの中で高水準の高付加価値化・高価格化を図るか、のどちらかを選ぶ形です。①は客観的なデータや統計の裏付けが、②は一般的な相場価格の調査・分析が求められます。
自社や進出先の業界動向、地域人口、人流データの確認には、地域経済分析システム(RESAS)が紹介されています。無料で、事前のID登録は不要です。
申請前に何をどの順番で確認すればよいですか?
まず新規性と新たな市場を文章で説明できるか確認し、そのあと付加価値額の目標と根拠を固める流れが確実です。
- 新製品・新サービスが、過去に自社で製造等した実績のないものか確認する
- 「該当しない例」(量の増加、再製造、製造方法の変更、市場の一部のみ、商圏違いなど)に当てはまらないか確認する
- 既存のお客様と、新規事業のお客様がどう違うかを書き出す
- 付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の基準年度の数字を、決算書から確認する
- 年平均成長率4.0%以上の目標値と、その算出根拠を決める
- 事業計画書を申請者ご自身で作成し、電子申請システムから申請する
あわせて、次の点も確認してください。
事業計画の検討やブラッシュアップで外部支援者の助言を受けることは差し支えありません。ただし、作成自体は必ず申請者自身で行う必要があります。Saludは、要件の確認や整理のお手伝いをする立場です。
次の申請に備えて、早めに準備しておくことは何ですか?
GビズIDプライムアカウントの発行と、一般事業主行動計画の公表は、申請の数週間前から動いておく必要があります。
第1回公募の締切は令和8年10月30日(金)18:00でした。公募要領では、締切間際は申請が集中して手続きが滞る可能性があると注意されています。GビズIDプライムアカウントの発行には1週間程度かかり、遅れによる期限延長は認められません。電子申請の入力にも、一般的に数時間程度かかります。
また、一般事業主行動計画の公表には1〜2週間程度かかります。要件を満たす見込みが立たない場合は、無理に締切に合わせず、事業計画を見直す判断も大切です。不採択になった場合は、見直したうえで再度申請できます。
採択後も、補助金額が減額されたり、対象外になったりする場合があります。計画の数字は、無理のない範囲で組み立ててください。
よくある質問(Q&A)
Q. 新規性は「日本初」や「世界初」でないと認められませんか?
A. いいえ。公募要領では、ここでの新規性は補助事業に取り組む中小企業等にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではないとされています。
Q. 以前やめた事業を再開する場合は対象になりますか?
A. 対象外です。過去に製造等していた製品等を再製造等することは、新たな製品等を製造等しているとは言えず、補助対象外と書かれています。
Q. 既存商品のメニューを増やす計画は新事業進出枠に該当しますか?
A. 既存の製品等と市場が同一で、単なるメニューの追加と考えられる場合は、該当しない例に挙げられています。個別の判断は、事務局への確認が必要です。
Q. 付加価値額とは何ですか?
A. 営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。補助事業終了後3〜5年の事業計画期間で、年平均成長率4.0%以上の増加を見込む計画が必要です。
Q. 事業計画書を外部の専門家に書いてもらってもよいですか?
A. 助言を受けることは差し支えありませんが、作成は必ず申請者自身で行う必要があります。作成自体を申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消となります。
まとめ
- 新事業進出枠では、自社にとっての新規性、新たな市場、付加価値額の年平均成長率4.0%以上の3点を、計画の中で説明できるようにする
- 再製造、量の増加、メニュー追加、商圏だけの違いは該当しない例。既存のお客様との違いを具体的に書く
- 付加価値額は営業利益+人件費+減価償却費。目標と算出根拠は申請者自身が作成する
- 第1回公募の締切は令和8年10月30日(金)18:00。次の公募に向けては、GビズIDや行動計画の準備を早めに。境界が不明な点は事務局へ確認する
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事業計画は申請者ご自身で作成いただきますが、要件の確認や整理のお手伝いをしています。
出典と最終確認日
- 出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回・1.3版、令和8年9月)(公式情報)
- 最終確認日:2026年10月12日
- 執筆:株式会社Salud(補助金の申請支援・Web制作)