小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)第20回の公募要領では、賃金引上げは「特例」と「加点」、卒業と後継者支援は「加点」として整理されています。上限額が増えるのは特例、審査で有利になるのは加点です。この記事では、その違いと選び方の順番を、公募要領の記載に沿って説明します。
この記事の結論(要点)
- 小規模事業者持続化補助金 第20回では、上限額を増やす仕組みは「特例」、審査で点が付く仕組みは「加点」と分かれています。
- 特例は、インボイス特例(50万円上乗せ)、賃金引上げ特例(150万円上乗せ)、両方(200万円上乗せ)の3パターンです。
- 卒業と後継者支援は特例ではなく加点です。過去に卒業枠・卒業加点で採択された事業者は、申請できません。
- 加点は、重点政策加点と政策加点からそれぞれ1種類、合計2種類までです。2種類以上を同じ区分から選ぶと加点審査の対象外になります。
- 特例や加点の要件を満たせないと、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されない場合があります。
①特例:もらえるお金の上限が増えるしくみ
②加点:審査の点数が足されるしくみ
名前は似ていますが、まったく別のものです。この記事では、むずかしい言葉をやさしく言いかえながら、順番に説明します。
ご注意:この記事は、小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回公募 公募要領をもとにした概要です。公募要領は改訂されることがあります。申請の前に、必ず最新の公募要領でご確認ください。
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第20回に賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠はありますか?
第20回の公募要領では、「枠」ではなく「特例」と「加点」に整理されています。 賃金引上げは特例と加点の両方があり、卒業と後継者支援は加点です。
特例とは、一定の要件を満たすと補助上限額が上乗せされる仕組みのことです。加点とは、採択審査で政策的な観点から点数が加わる仕組みのことです。
「卒業枠」「後継者支援枠」という名前は、過去の公募回で使われていました。公募要領には、過去にそれらで採択された事業者への制限が書かれています。名前が似ていても、第20回では扱いが違う点に注意してください。
| 項目 | 特例 | 加点 |
|---|---|---|
| 何が変わるか | 補助上限額(赤字の賃金引上げ特例は補助率も) | 採択審査の点数 |
| 第20回の種類 | インボイス特例、賃金引上げ特例 | 賃金引上げ加点、小規模事業者卒業加点、後継者支援加点など |
| 賃金引上げの目標 | 年平均3.0%以上 | 年平均2.0%以上 |
| 要件を満たせない場合 | 通常枠も含め、補助金全体が交付されない | 卒業加点や賃金引上げ加点は、交付決定後でも交付されない |
上限額が増える特例は、どれを選べばよいですか?
特例は3パターンです。インボイス特例(50万円上乗せ)、賃金引上げ特例(150万円上乗せ)、両方(200万円上乗せ)です。 通常枠の補助上限は50万円です。
補助率は2/3です。賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4になります。
この数字カードは、第20回の補助上限額と補助率をまとめたものです。
インボイス特例の対象者
インボイス特例の対象は、補助事業の終了時点で「適格請求書発行事業者」の登録を受けている事業者です。さらに、次の①②のどちらかに当てはまる必要があります。
賃金引上げ特例の対象者
賃金引上げ特例の対象は、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増やす事業者です。比べる期間は、補助事業実施期限日(2028年3月31日)を終点とする連続12か月と、その前年同月の12か月です。補助事業終了予定日は2028年3月31日に設定します。
これより早く終わる計画にすると、賃金引上げ特例・賃金引上げ加点の要件に合わない可能性があります。計画を立てる前に、事務局や窓口へ確認してください。
赤字事業者の補助率3/4は、直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロ以下の場合の追加要件です。
やってはいけない例
- 「賃上げ目標に届かなくても、上乗せ分が減るだけ」と考える。実際は、通常枠と特例の要件を1つでも満たさないと、補助金全体が交付対象外です。
- 「常時使用する従業員」と同じ人数で賃上げを計算する。賃金引上げ特例の「従業員」は、申請要件の「常時使用する従業員」とは異なります。
- 申請後に従業員が退職し、1人あたりの給与支給総額を算出できなくなる。この場合も補助金は交付されません。
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卒業・後継者支援・賃金引上げの加点は何が違いますか?
3つの加点は、狙いも要件も未達時の扱いも別物です。 自社の状況に当てはまるものだけを選びます。
まず、小規模事業者卒業加点とは、補助事業中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者の人数枠を超える事業者に付く加点のことです。後継者支援加点とは、「アトツギ甲子園」のファイナリストまたは準ファイナリストになった事業者に付く加点のことです。
| 項目 | 賃金引上げ加点 | 小規模事業者卒業加点 | 後継者支援加点 |
|---|---|---|---|
| 区分 | 政策加点 | 政策加点 | 政策加点 |
| 中心の要件 | 1人あたり給与支給総額を年平均2.0%以上増やす | 補助事業の終了時点で、常時使用する従業員が小規模事業者の人数を超える | 申請時に「アトツギ甲子園」のファイナリストまたは準ファイナリストである |
| 未達の場合 | 交付決定後でも補助金は交付されない | 交付決定後でも補助金は交付されない | 申請時の要件のため、記載なし |
| 過去の利用 | 公募要領に特別な記載なし | 過去の「卒業枠」「卒業加点」で採択された事業者は対象外 | 過去の「後継者支援枠」で採択された事業者は対象外。異なる年度で要件を満たせば対象になり得る |
卒業加点の人数の目安
卒業加点で「超える」とされる常時使用する従業員の数は、次のとおりです。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):6人以上
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:21人以上
- 製造業その他:21人以上
通常、補助対象者は事業終了まで小規模事業者であることが必要です。卒業加点を希望する事業者だけが例外です。
事業承継加点との違い
後継者支援加点と事業承継加点は別の加点です。事業承継加点は、基準日時点の代表者が満60歳以上で、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合に付きます。事業承継診断票(様式10)が必要で、事業支援計画書(様式4)と同時に発行を依頼します。
加点はいくつまで選べますか?併用の注意点は?
加点は、重点政策加点と政策加点からそれぞれ1種類、合計2種類までです。 同じ区分から2種類以上を選ぶと、加点審査の対象になりません。
経営者賃金引上げ特例と小規模事業者卒業加点を、両方使いたいのですが。
担当者公募要領では、賃金引上げ特例を希望すると、賃金引上げ加点が自動的に適用されると書かれています。
経営者卒業加点も賃金引上げ加点も、同じ政策加点ですよね。
担当者はい。同じ区分から2種類以上を選ぶと、加点審査の対象外になります。
経営者では、併用できるのですか。
担当者公募要領だけでは断定できません。申請前に、事務局か商工会・商工会議所へ確認しましょう。
赤字事業者が賃金引上げ特例(赤字事業者)を希望すると、赤字賃上げ加点(重点政策加点)も自動的に適用されます。賃金引上げ加点(政策加点)も自動で付きます。
重点政策加点には、赤字賃上げ加点のほか、事業環境変化加点、東日本大震災加点、くるみん・えるぼし加点、健康経営優良法人加点があります。
自社に合う特例・加点は、どの順番で決めればよいですか?
順番は「特例の要件確認」→「加点の確認」→「事業支援計画書の発行依頼」です。 先に取れる点数を探すのではなく、補助事業終了時点で満たせる要件から選びます。
- 2021年9月30日以降の免税事業者歴や創業時期を確認し、インボイス特例の対象かを調べます。
- 賃金引上げ特例なら、2028年3月31日までの1人あたり給与支給総額を年平均3.0%以上増やせるか、自社で試算します。
- 赤字事業者の追加要件(課税所得金額がゼロ以下)に当てはまるかを確認します。
- 卒業加点・後継者支援加点などを確認し、重点政策加点と政策加点から1種類ずつまでに絞ります。
- 必要書類をそろえ、2026年12月4日までに事業支援計画書(様式4)の発行を依頼します。
- 2026年12月15日17:00までに電子申請システムで申請します。
次の流れ図は、特例と加点を決めてから申請までに進む順番を示しています。
事業支援計画書の発行時には、特例に申請する場合は要件を満たしているかも確認されます。社外の代理人だけで、商工会・商工会議所へ相談や発行依頼をすることはできません。申請書や経営計画は、申請者ご自身で作成するものです。
公募要領には記載がありませんが、弊社の経験では、商工会議所地区でも事前の相談や面談を求められることが多いです。オンライン対応の可否は窓口ごとに違うため、早めに地域の窓口へ連絡して確認してください。Saludは、要件の確認や整理のお手伝いをします。
この記事の要点を、数字と条件で一覧にすると?
第20回では、上限額が増えるのが「特例」、審査の点数が足されるのが「加点」です。主な数字と条件は、次の表のとおりです。
| 特例とは | もらえるお金の上限が増えるしくみ |
|---|---|
| 加点とは | 審査で点数が足されるしくみ |
| 通常枠の補助上限 | 50万円 |
| インボイス特例 | 50万円上乗せ |
| 賃金引上げ特例 | 150万円上乗せ(両特例の対象なら200万円上乗せ) |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4) |
| 賃金引上げの目標 | 特例:年平均3.0%以上 加点:年平均2.0%以上 |
| 加点の選び方 | 重点政策加点と政策加点から1種類ずつ、合計2種類まで。同じ区分から2種類以上選ぶと加点審査の対象外 |
| 要件を満たせない場合 | 上乗せ分だけでなく、補助金全体が交付されない場合がある |
| 補助事業実施期限日 | 2028年3月31日(賃金引上げ特例・加点では、終了予定日もこの日に設定) |
| 様式4の発行依頼の締切 | 2026年12月4日 |
| 電子申請の締切 | 2026年12月15日17:00 |
| 出典・最終確認日 | 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領 / 2026年10月28日 |
むずかしい言葉を、やさしく言いかえると?
申請書や公募要領に出てくる言葉は、次のように言いかえると分かりやすくなります。
| 特例 | もらえるお金の上限が増えるしくみ |
|---|---|
| 加点 | 審査で点数が足されるしくみ |
| 補助上限額 | もらえるお金の、いちばん上の金額 |
| 補助率 | かかったお金のうち、補助してもらえる割合(例:3分の2) |
| 上乗せ | 今の金額に、さらに足すこと |
| 交付 | 補助金が実際に支払われること |
| 重点政策加点・政策加点 | 加点を2つのグループに分けた呼び名 |
| 事業支援計画書(様式4) | 商工会・商工会議所に出してもらう、確認の書類 |
| 適格請求書発行事業者 | インボイス(正式な請求書)を出せる登録をした事業者 |
よくある質問(Q&A)
Q. 第20回に「卒業枠」はありますか?
A. 第20回では枠ではなく、「小規模事業者卒業加点」として載っています。補助事業の終了時点で、常時使用する従業員が小規模事業者の人数を超えることが必要です。過去に卒業枠または卒業加点で採択され、補助事業を実施した事業者は対象外です。
Q. 賃金引上げ特例を選ぶと、賃金引上げ加点も別に申請するのですか?
A. 公募要領には、賃金引上げ特例を希望すると賃金引上げ加点が自動的に適用されると書かれています。赤字事業者の特例では、赤字賃上げ加点も自動的に適用されます。
Q. 赤字事業者の補助率3/4は、どんな場合に使えますか?
A. 賃金引上げ特例に取り組む事業者のうち、直近1期または直近1年間の課税所得金額がゼロ以下の場合です。申請時に、特例の選択と税務書類の提出が必要です。
Q. 後継者支援加点の対象者は誰ですか?
A. 申請時に、「アトツギ甲子園」のファイナリストまたは準ファイナリストになった事業者です。過去の「後継者支援枠」で採択された事業者は対象外ですが、異なる年度で要件を満たす場合は、対象になり得ます。
Q. 特例の要件を満たせなかった場合、上乗せ分だけ減りますか?
A. 減りません。通常枠と特例の要件を1つでも満たさない場合、特例による上乗せ部分だけでなく、補助金全体が交付対象外になります。
Q. 特例と加点は、ひとことで言うと何が違いますか?
A. 特例は、もらえるお金の上限が増えるしくみです。加点は、審査で点数が足されるしくみです。上限額が増えるのが特例、審査で有利になるのが加点です。
Q. 賃金引上げとは、かんたんに言うと何をすることですか?
A. 従業員1人あたりの給与の支給総額を、年平均で増やすことです。賃金引上げ特例は年平均3.0%以上、賃金引上げ加点は年平均2.0%以上が目標です。
まとめ
- 第20回は「枠」ではなく、上限額が増える「特例」と、審査で点が付く「加点」で考えます。
- 特例は、インボイス特例(50万円)、賃金引上げ特例(150万円)、両方(200万円)の上乗せです。
- 卒業加点・後継者支援加点・賃金引上げ加点は要件も過去の利用制限も違うため、自社に当てはまるものだけを選びます。
- 加点の併用は区分のルールがあるため、事業支援計画書(様式4)の発行締切である2026年12月4日までに、窓口や事務局で確認しましょう。
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事業計画は申請者ご自身で作成いただきますが、要件の確認や整理のお手伝いをしています。
出典と最終確認日
- 出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠> 第20回公募 公募要領(公式情報)
- 最終確認日:2026年10月8日
- 執筆:株式会社Salud(補助金の申請支援・Web制作)